さようならを伝えに…

これは家で飼っていた犬の話です。
名前はトントン、雑種の中型犬。名前は坂上忍が子役の時に放送されていたドラマ、宇宙犬トントンからもらいました。

トントンは通っていた小学校に迷い込んで来ていた野良子犬でした。余りにも人なつっこいので何処かで飼われていると思ってたのですが、数日経っても学校にいたので家に連れて帰った子犬でした。

そんなトントンも家に来て18年位になりました。目は白内障で余り見えてない様子で、立ち上がる事も少なくなったので、外ではなくて家の中の片隅で過ごしていました。

当時私はトラックの配送業に転職していて、出勤するのは早朝の生活でした。

ある朝、寝ている自分を揺さぶる感覚があり目覚めると、トントンがベッドに前足をのせてこっちを見てるんです、遊ぼうと言いたそうな顔をしてしっぽを振りながら…。

起き上がるとトントンは部屋を出て階段を下りて行きました。自分がちゃんと付いてきているか確認するように、何度もこちらを振り返りながら…。

そして一階の明かりのついた部屋に入って行きました。その部屋に入ると母親が、横たわったトントンを撫でながら泣いていました。私に気づいて振り向いた母親は、さっきトントンが息を引き取ったと言い、「もう仕事に行く時間?」と私が起きて来たのを不思議がりました。

そうトントンは数日前から立ち上がる事も出来ない位に衰弱していました。

でも起こしに来たあの子は、遊び盛りのトントン…。しかも自分の部屋は二階で扉も閉まっていたはずです。そう言えば部屋から出る時に扉を開けた覚えはなく、振り向くあの子についてこの部屋に入りました。そしてこの部屋には横たわるトントンと撫でながら泣いている母親…。

ここに来るまでの事を伝えると母親は「さようならが言いたかったんだよ」と…。

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Posted by 山之内